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心臓リハビリテーション

入院~退院後の流れ

心臓リハビリテーションの概要

心臓リハビリテーションは、心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓手術後などの心疾患患者の再発や重症化を予防し、患者が日常生活に復帰するための包括的なアプローチです。このプログラムは、運動療法、服薬・食事・生活指導、社会復帰支援、カウンセリングを含みます。目的は、患者が体力を回復し、自信を取り戻し、再び快適な家庭生活や社会生活に復帰することです。また、再発や再入院のリスクを減らすことも重要な目標です。

心臓リハビリテーションの対象疾患と保険適応

心臓リハビリテーションの対象疾患には、急性心筋梗塞、狭心症、慢性心不全、心臓手術後の状態、大血管疾患、末梢動脈疾患、経カテーテル大動脈弁置換術後が含まれます。これらの疾患に対するリハビリテーションは、医療保険制度によってサポートされており、適応期間はリハビリ開始後150日間に定められています。

心臓リハビリテーションの具体的内容

運動療法

運動療法は心臓リハビリテーションの中核をなす要素であり、患者の体力と持久力の向上、心機能のサポートに不可欠です。このプログラムは、以下の順序で運用されます。

運動プログラムの作成

患者の現在の体力と医療状態に基づいたカスタマイズされた運動プログラム。

徐々に強度を上げる

安全性を確保しながら徐々に運動の強度を高めます。

見守られながら

特に初期段階では、医療スタッフによる密接な監視下で行われます。

負担のない運動を

ウォーキング、サイクリング、水泳など、心臓に負担をかけない運動。

心肺機能の評価

定期的な評価を通じて、運動プログラムの効果をモニタリングします。

服薬・食事・生活指導

心臓リハビリテーションでは、適切な薬物治療の管理と健康的な生活習慣の促進が重要です。

薬物治療の管理

心臓病に対する薬の適切な使用と管理。

心臓に優しい食事

飽和脂肪や塩分を控えめにし、フルーツや野菜を豊富に含む食事。

健康的な生活習慣の促進

喫煙の禁止、適度なアルコール摂取、ストレス管理。

社会復帰支援

社会復帰支援は、患者が日常生活にスムーズに復帰できるようにするための重要な側面です。

職場復帰のサポート

職場での調整や適応に関するアドバイス。

日常生活活動の支援

日常生活での課題に対処するための戦略とサポート。

社会的な交流の促進

社会的な活動への参加を奨励し、孤立感の軽減。

心臓リハビリ期の区分

心臓リハビリテーションは、心臓疾患の患者にとって非常に重要な治療過程であり、そのプロセスは入院から退院後にかけて異なる段階に分かれています。以下は、心臓リハビリテーションの各段階の特徴に関する詳細な解説です。

急性期の心臓リハビリテーション

急性期のリハビリは、病気の発症や手術入院時に行われ、集中治療室や病棟で実施されます。この段階でのリハビリの主な目的は、安静による運動機能の低下を防ぐこと、日常生活動作(ADL)の自立を促すこと、そして二次予防教育を開始することです。急性期のリハビリテーションは、患者の体力と病状に応じて慎重に進められ、安全性が最優先されます。

回復期の心臓リハビリテーション

回復期のリハビリは、急性期治療が終了した後から行われます。この段階では、患者が離床し、社会復帰に向けての状態が安定するまでの期間をカバーします。回復期はさらに二つのサブステージに分かれます

前期回復期

一般病棟で行われ、日常生活活動(ADL)能力の早期再獲得を目指します。

後期回復期

退院後の社会復帰に向けた準備と新たな生活習慣の獲得が重点です。この時期には積極的な運動療法が推奨され、心肺運動負荷試験(CPX)の結果に基づいた適切な運動処方が行われます。

維持期の心臓リハビリテーション

維持期は、社会復帰後に生涯を通じて続けられるリハビリの段階です。この期間におけるリハビリテーションは、主に在宅や地域の運動施設を通じて行われ、自己の健康管理が中心となります。維持期の目標は、回復期で得た身体機能や運動耐容能、疾患管理能力を可能な限り維持し、向上させることです。この期間は、患者が自立して健康管理を行えるようサポートすることが重要です。

心臓リハビリテーションの多職種間連携とその重要性

心臓リハビリテーションでは、異なる医療専門家がチームとして協力し、包括的なケアを提供します。この多職種間の連携により、患者の身体的、心理的、社会的なニーズに対応するための総合的なアプローチが可能になります。例えば、理学療法士は身体機能の向上に焦点を当て、薬剤師は薬物治療の管理を担い、栄養士は食事計画の策定を行います。また、心理士や社会復帰支援専門家は、患者の精神的健康と社会復帰をサポートします。

心臓リハビリテーションの主な効果

運動能力の改善

運動療法は心肺機能の向上に重要で、患者の運動耐性と全身の筋力を高めます。これは、日常生活での疲労感の軽減や活動レベルの向上に直接寄与します。

冠動脈疾患のリスクを下げる

生活習慣の改善は、血圧、血糖、コレステロールレベルを改善し、冠動脈疾患のリスクを低減します。これには、食事の調整、禁煙、適切な体重管理が含まれます。

生活の質の改善

患者は、身体的能力の向上とストレスの軽減を通じて、より充実した日常生活を享受できるようになります。

再発予防

定期的な運動と健康的な生活習慣は、心臓疾患の再発リスクを低減します。

血栓予防

適度な運動は血液循環を促進し、血栓形成のリスクを減少させます。

自律神経機能の改善

ストレス管理技法やリラクゼーション療法は、自律神経のバランスを改善し、心臓の健康を促進します。

よくある質問

心臓リハビリテーションとは何ですか?

心臓リハビリテーションは、心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓手術後などの心疾患患者の再発や重症化を予防し、日常生活に復帰するための包括的なアプローチです。運動療法、服薬・食事・生活指導、社会復帰支援、カウンセリングを含みます。

心臓リハビリテーションの対象となる疾患は何ですか?

対象疾患には急性心筋梗塞、狭心症、慢性心不全、心臓手術後の状態、大血管疾患、末梢動脈疾患、経カテーテル大動脈弁置換術後が含まれます。

心臓リハビリテーションで行われる運動療法の内容は何ですか?

運動療法はカスタマイズされた運動プログラムを基に、安全性を確保しながら徐々に強度を上げ、心肺機能の評価を通じて効果をモニタリングします。ウォーキング、サイクリング、水泳など、心臓に負担の少ない運動が行われます。

心臓リハビリテーションにおける多職種間連携の重要性は何ですか?

多職種間連携は、患者の身体的、心理的、社会的ニーズに対応するための総合的なアプローチを可能にします。理学療法士、薬剤師、栄養士、心理士、社会復帰支援専門家などが協力し、患者に最適なケアを提供します。

心臓リハビリテーションの主な効果は何ですか?

主な効果には、運動能力の改善、冠動脈疾患リスクの低減、生活の質の改善、再発予防、血栓予防、自律神経機能の改善などがあります。これらは日常生活での疲労感の軽減や活動レベルの向上に寄与します。

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【参考文献】
・日本心臓リハビリテーション学会ステートメント
https://www.jacr.jp/about/statement/#:~:text=%E5%BF%83%E8%87%93%E3%83%AA%E3%83%8F%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E5%BF%83,%E6%98%AF%E6%AD%A3%E3%83%BB%E6%82%A3%E8%80%85%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB

・一般社団法人 日本循環器学会

心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/JCS2021_Makita.pdf

心疾患情報執筆者

心疾患情報執筆者

竹口 昌志

看護師

プロフィール

看護師歴:11年
《主な業務歴》
・心臓血管センター業務
(循環器内科・心臓血管外科病棟)
・救命救急センター業務
(ER、血管造影室[心血管カテーテル、脳血管カテーテル]
内視鏡室、CT・MRI・TV室など)
・手術室業務
・新型コロナウイルス関連業務
(PCR検査センター、コロナ救急外来、HCU、コロナ病棟、
コロナ療養型ホテル、コールセンター)

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