株式会社増富

高度管理医療機器等販売業 許可番号 第100327号

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虚血性心疾患

心疾患と生活習慣

心疾患の基礎

心疾患と関連する生活習慣

心疾患は世界中で見られる主要な健康問題の一つであり、日常の生活習慣が大きく影響します。特に、食生活は健康に直接影響を与える重要な要素です。適切な食事は心疾患のリスクを低減することができる一方で、不適切な食生活は心疾患のリスクを高める可能性があります。食事や運動、ストレス管理、睡眠などの生活習慣を整えることは心疾患のリスクを減らす上でとても重要になります。

食生活と心疾患

心疾患のリスクを減らすためには、バランスの取れた栄養素が豊富な食事を心がけることが重要です。

心臓に良い影響を与える食品

心臓に良い食品を摂取することは、心疾患のリスクを減少させ、全体的な健康を向上させるために不可欠です。

全粒穀物

全粒穀物は、精製されていないため、食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。これらの成分は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減少させ、血糖値の急激な上昇を防ぎます。これにより、心疾患のリスクが下がるとされています。

  • 全粒小麦
  • 茶色い米
  • オートミール
  • キノア
  • バーリー(大麦)

などがあります。

果物と野菜

果物と野菜は、抗酸化物質、ビタミン、ミネラルが豊富で、心臓病の予防に役立つことが知られています。これらの栄養素は、炎症を減少させ、血管の健康を促進することで、心臓に良い影響を与えます。

  • 緑葉野菜
  • ベリー類
  • 柑橘類

は心臓の健康に良いとされています。

健康的な脂肪

オメガ3脂肪酸が豊富な食品は、心臓の健康に良い脂肪とされています。これらの脂肪は、心臓疾患のリスクを減少させることが示されており、特に血中のトリグリセリド(血脂肪)のレベルを下げる効果があります。

  • サーモン
  • マグロなどの脂肪が多い魚
  • アボカド
  • ナッツ
  • オリーブオイル

が含まれます。

豆類

豆類は、植物性タンパク質の優れた源であり、飽和脂肪が少ないため心臓に優しい選択肢です。また、豆類は食物繊維が豊富で、血糖値のコントロールに役立つほか、心臓病リスクの低下に関連しています。

  • レンズ豆
  • 黒豆
  • ガルバンゾ豆(ひよこ豆)
  • 枝豆

などが良い例です。

心臓に悪い影響を与える食品

特定の食品群がなぜ心臓に悪影響を与えるのか、その理由を詳細に説明します。

加工肉

特徴と影響

ソーセージ、ベーコン、サラミなどの加工肉製品には、飽和脂肪とナトリウムが豊富に含まれています。これらは血圧を上昇させ、心臓病のリスクを高めることが知られています。加工肉の頻繁な摂取は、心血管疾患のリスクを増加させます。

対策

新鮮な肉や植物ベースのタンパク質源に置き換えることで、心臓に優しい食生活を実現できます。

トランス脂肪

特徴と影響

トランス脂肪は、一部のマーガリン、ファーストフード、パッケージされたスナックや焼き菓子に含まれています。トランス脂肪は悪玉コレステロール(LDL)を増やし、善玉コレステロール(HDL)を減らすことで、心臓病のリスクを高めます。

対策

ラベルを確認してトランス脂肪の含まれていない食品を選び、全体的に加工食品の摂取を減らします。

高脂肪の乳製品

特徴と影響

 高脂肪のチーズ、クリーム、バターは、飽和脂肪の重要な源です。過剰に摂取すると、心臓病のリスクを高める可能性があります。

対策

低脂肪の乳製品に切り替えることで、飽和脂肪の摂取を減らし、心臓の健康をサポートできます。

砂糖と精製された炭水化物

特徴と影響

ソーダ、菓子、白パンなどに含まれる砂糖や精製された穀物は、体重の増加、炎症、インスリン抵抗性を引き起こし、心疾患のリスクを高めます。

対策

天然の甘味料や全粒穀物を選び、加工された炭水化物の摂取を制限することで、心臓への負担を軽減できます。

心血管系に有効な運動

適切な運動は健康を促進し、心疾患のリスクを減少させる効果的な方法の1つです。

有酸素運動

有酸素運動は、心臓と肺の効率を向上させることで知られています。持続的な活動により、心臓がより効率的に血液を循環させ全身に酸素を供給します。

  • ウォーキング: 初心者にも適しており、特別な装備を必要とせず、日常的に取り入れやすい運動です。
  • ジョギング: 中度から高強度の有酸素運動であり、心臓の耐久力を向上させます。
  • サイクリング: 低衝撃で関節に優しい有酸素運動であり、屋外や屋内のエクササイズバイクで行うことができます。
  • 水泳: 全身を使った運動であり、心臓にとって有益な強い有酸素運動を提供します。
  • エアロビクス: 音楽に合わせて行う動的な運動で、楽しみながら心血管系の健康を向上させることができます。

筋力トレーニング

筋肉を強化することは、心血管系の健康に間接的ながら重要な役割を果たします。筋力トレーニングは、体の代謝を高め、体重管理に役立ちます。

  • フリーウェイト: ダンベルやバーベルを使用し、自宅でもジムでも行える運動です。
  • マシンウェイト: ジムで利用できる機械を使用して、特定の筋肉群をターゲットにします。
  • 自重トレーニング: プッシュアップやスクワットのように、自分の体重を利用して行う運動で、どこでも実践可能です。

柔軟性とバランスの運動

柔軟性とバランスを向上させることで、転倒のリスクを減少させ、運動時の怪我を防ぐことができます。

  • ヨガ: 柔軟性を高め、ストレスを軽減し、心の平穏を促進します。
  • ピラティス: 核となる筋肉を強化し、全身のバランスと調和を改善します。

ストレス管理と心疾患

ストレスは、現代社会における避けがたい生活の一部ですが、心血管系にとって重大な影響を与えます。ストレス管理は、心疾患の予防と健康維持のために重要な役割を果たします。

ストレスの影響

ストレスは心血管系に多方面から影響を及ぼします。これには以下のようなものが含まれます。

血圧の上昇

  • ストレスによって引き起こされる一時的な血圧の上昇は、時間が経つにつれて慢性的な高血圧へと発展する可能性があります。これは心臓病や脳卒中のリスクを高めます。

心拍数の増加

  • ストレスは心拍数を増加させ、心臓に余計な負担をかけ、心臓病のリスクを高める可能性があります。

不健康な生活習慣

  • ストレスを感じると、人々は不健康な食生活、運動不足、喫煙、過度のアルコール摂取といったリスク行動に走りがちです。これらの行動は心臓病のリスクをさらに高めます。

炎症の促進

  • 慢性ストレスは体内の炎症反応を促進することが示されています。炎症は動脈硬化などの心臓病の原因となるプロセスに関与しています。

ストレス管理の方法

ストレスを効果的に管理し、心臓の健康を保護するために以下の方法があります。

適度な運動

  • 定期的な運動はストレスレベルを減らし、心臓の健康を促進します。

リラクゼーション技法の実践

  • 深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーション技法は、ストレスを軽減し心の平和をもたらします。

十分な睡眠の確保

  • 良質な睡眠は、ストレス反応を軽減し、心血管系の健康を維持します。

時間管理

  • 効果的な時間管理は、日常生活のストレスを軽減し、ストレスによる心臓への影響を最小限に抑えることができます。

専門家のサポート

  • ストレスが手に負えない場合は、カウンセリングや心理療法を通じて専門家からの支援を求めることが有効です。

睡眠と心疾患

質の高い睡眠は心臓病のリスクを減少させる一方で、睡眠不足や睡眠障害は心血管系に様々な負の影響を与えます。

睡眠の質と心疾患リスク

睡眠は、心臓と血管の健康に直接的な影響を及ぼします。不十分な睡眠や質の悪い睡眠が心疾患リスクの増加につながる主な理由は以下の通りです。

高血圧

  • 睡眠中には血圧が自然に下がりますが、睡眠不足の場合はこの降圧効果が減少し、時間とともに高血圧のリスクが高まります。

糖尿病

  • 睡眠不足はインスリンの効果を低下させることが知られており、血糖管理の問題が糖尿病のリスクを増加させます。

心房細動

  • 不規則な睡眠パターンは、心房細動のリスクを高める可能性があります。これは不整脈の一形態で、心臓発作や脳卒中のリスクを高めます。

心臓病

  • 長期的な睡眠不足は体内の炎症反応を促進し、これが心臓病のリスクを増加させる可能性があります。

良質な睡眠を得るために

心臓の健康を守り、心疾患のリスクを減少させるためには、良質な睡眠が不可欠です。良質な睡眠を得るための方法には以下のようなものがあります。

定期的な睡眠スケジュールの維持

  • 毎日同じ時刻に就寝し、起床することで、体内時計を整えます。

リラクゼーション技法の実践

  • 睡眠前のリラクゼーション技法(深呼吸、瞑想、軽いストレッチ)は、睡眠の質を向上させることができます。

快適な睡眠環境の整備

  • 静かで、暗く、涼しい寝室は睡眠を促進します。快適なマットレスと枕も重要です。

カフェインとアルコールの摂取を避ける

  • 特に就寝前の数時間は、これらの刺激物の摂取を控えます。

定期的な運動

  • 日中の適度な運動は睡眠の質を向上させることができますが、就寝前の激しい運動は避けてください。

心疾患の予防と管理

生活習慣の改善による予防まとめ

食生活の改善

心疾患の予防には、バランスの取れた栄養摂取が不可欠です。食生活の改善には、飽和脂肪やトランス脂肪の摂取を減らし、全粒穀物、果物、野菜、魚など、心に優しい食品を積極的に取り入れることが含まれます。

定期的な運動

週に最低150分の中強度有酸素運動、または75分の高強度有酸素運動を目指すことが推奨されます。運動は血圧を下げ、体重管理を助け、全体的な心血管系の健康を向上させます。

ストレス管理

ストレスは心疾患のリスク要因です。ストレス管理のためには、リラクゼーション技法(瞑想、深呼吸)、趣味や運動によるリフレッシュ、適切な休息が効果的です。

睡眠の質の向上

質の良い睡眠は心血管系の健康にとって重要です。毎晩7〜9時間の良質な睡眠を確保することで、心疾患のリスクを減少させます。

定期的な健康診断の重要性

心疾患の早期発見

定期的な健康診断により、高血圧や高コレステロールなどの心疾患のリスク要因を早期に特定し、適切な介入を行うことができます。

予防策の定期的な見直し

医師との定期的な相談を通じて、生活習慣の改善や薬物療法の計画を定期的に見直し、必要に応じて調整します。

入院~退院後の流れと、リハビリについて

心臓手術を受ける患者の入院から退院後に至るまでのプロセスと、心臓リハビリテーションについては以下のリンクをご参照ください。
入院中のケアから、退院後の生活への適応、そして心臓リハビリテーションを通じての健康回復と生活質の向上に至るまで、ご紹介しています。

よくある質問

こちらのコラムの内容の要点を「よくある質問」からまとめています。

心疾患のリスクを減らすために、どのような食生活を心がけるべきですか?

心疾患のリスクを減らすためには、バランスの取れた栄養が豊富な食事を心がけることが重要です。全粒穀物、果物、野菜、オメガ3脂肪酸が豊富な食品を摂取し、加工肉やトランス脂肪、高脂肪の乳製品、砂糖や精製された炭水化物の摂取を避けることが推奨されます。

心臓に良い運動はどのようなものですか?

心血管系の健康を向上させる運動には、有酸素運動が有効です。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、エアロビクスなどが心臓に良い影響を与えます。また、筋力トレーニングや、柔軟性とバランスを向上させる運動も心臓の健康に役立ちます。

ストレスが心疾患に及ぼす影響とは?

ストレスは血圧の上昇、心拍数の増加、不健康な生活習慣への傾倒、体内の炎症促進など、心血管系に多方面から影響を及ぼします。これらはすべて心疾患のリスクを高めるため、ストレス管理が心臓の健康維持には重要です。

良質な睡眠が心疾患リスクに与える影響とは?

良質な睡眠は心臓と血管の健康に直接的な影響を及ぼし、不十分な睡眠や質の悪い睡眠は心疾患リスクの増加につながります。高血圧、糖尿病、心房細動、心臓病など、睡眠不足に関連する様々なリスクがあります。

心疾患の予防において、定期的な健康診断がなぜ重要ですか?

定期的な健康診断により、高血圧や高コレステロールなど心疾患のリスク要因を早期に特定し、適切な介入を行うことができます。これにより、心疾患の発症を予防またはその進行を遅らせることが可能になります。

関連コラム

【参考文献】

・日本心不全学会ガイドライン委員会
心不全患者における栄養評価・管理に関するステートメント
https://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/statement20181012.pdf

・一般社団法人日本動脈硬化学会
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
https://www.j-athero.org/jp/wp-content/uploads/publications/pdf/GL2022_s/jas_gl2022_3_230210.pdf

【株式会社増富関連コラム】
心疾患と栄養の関係

心疾患情報執筆者

心疾患情報執筆者

竹口 昌志

看護師

プロフィール

看護師歴:11年
《主な業務歴》
・心臓血管センター業務
(循環器内科・心臓血管外科病棟)
・救命救急センター業務
(ER、血管造影室[心血管カテーテル、脳血管カテーテル]
内視鏡室、CT・MRI・TV室など)
・手術室業務
・新型コロナウイルス関連業務
(PCR検査センター、コロナ救急外来、HCU、コロナ病棟、
コロナ療養型ホテル、コールセンター)

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