株式会社増富

高度管理医療機器等販売業 許可番号 第100327号

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虚血性心疾患

心疾患について

心疾患の基礎

心疾患の概要

心臓は、生命を維持するために血液を全身に送り出すポンプの役割を担う重要な臓器の1つです。その心臓の構造や機能の異常によって血液の循環不全が引き起こされる病気を心疾患といいます。死亡率は「がん」に次いで日本人の死因の第2位を占めています。主に「虚血性心疾患、不整脈、心臓弁膜症、大動脈疾患、先天性心疾患」などの心疾患があり、疾患や病状の進行によって症状が異なります。

心疾患

最初の症状出現から24時間以内に死亡することを「突然死」といい、日本人における突然死の多くを心疾患が占めています。以下は主な心疾患です。

虚血性心疾患

 虚血性心疾患とは、動脈硬化の影響で血液の巡りが悪くなり、心臓に酸素や栄養を供給する冠動脈が細くなったり詰まったりすることで発症する生活習慣病とかかわる重大な疾患の総称であり、心疾患の大部分を占めています。虚血性心疾患は大きく分けて、冠動脈が動脈硬化などで狭くなり、心臓が酸素欠乏に陥る「狭心症」と冠動脈の血流が遮断されることで、その部分の心筋が壊死する「心筋梗塞」の2種類があります。特に心臓に関連する「突然死」の原因で最も多いのが急性心筋梗塞です。

不整脈

不整脈とは、心臓の心拍リズムが速くなったり、遅くなったり、不規則に乱れる状態をいいます。不整脈は大きく分けて、脈が不規則になる「期外収縮」、脈拍数が100回/分以上に速くなる「頻脈性不整脈」、脈拍数が50回/分以下に遅くなる「徐脈性不整脈」の3つの分類があります。他にも様々な種類の不整脈がありますが、その中でも心室全体が痙攣する「心室細動」は、突然死の原因になる最も危険な重症致死性不整脈の1つです。

心臓弁膜症

心臓弁膜症とは、心臓の左右4つの部屋にある「僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁」の障害による疾患の総称です。心臓弁膜症には、弁の開きが悪くなって血液の流れが妨げられる「狭窄症」、弁の閉じ方が不完全なために、血流が逆流してしまう「閉鎖不全症」の2種類があります。その中でも「僧帽弁」と「大動脈弁」の罹患率が高く、弁膜症によって心臓のポンプ機能が正常に働かなくなることで心不全や不整脈などによる様々な症状が現れることがあります。

大動脈疾患

大動脈疾患とは、全身に血液を送るために心臓から直接分岐する身体の中で最も太い大動脈に機能障害や解離、瘤形成などが起こる疾患の総称です。大動脈疾患は大きく分けて、「大動脈瘤」と「大動脈解離」の2つに分類され、大動脈瘤の破裂や急性大動脈解離の発症は緊急性が高く突然死の原因にもなります。特に急性大動脈解離は、医療技術が進歩した現在においても治療介入が遅れると死亡率が高くなる生死に直結する心疾患の1つです。

先天性心疾患

先天性心疾患とは、うまれつき、心臓の弁や血管の配置の異常、心房や心室の壁に穴があるなど心臓や血管の構造の一部が正常と異なる疾患の総称です。先天性心疾患は、全出生の約1%にあたる100人に1人、年間1万人が罹患している疾患であり、その中で最も多いのが心室中隔欠損です。かつて、先天性心疾患は難治性疾患でしたが近年の医療技術の進歩により多くの患者様が成人を迎えています。

心疾患の症状

心疾患は無症状のまま病状が進行し症状が現れたときに重症となっていることが多く、死に至る危険性の高い疾患(サイレントキラー)です。以下は主な心疾患の症状です。

胸痛

胸痛とは、心臓、肺、食道、胴体の大血管の疾患による痛みなどで現れ、体の前面の胸あたりに痛みを感じる症状です。胸痛には、鋭い痛みと鈍い痛みがありますが、不快感、圧迫感、絞扼感、焼けつくような痛み、うずくような痛みなどの表現で訴えられることがあります。人によっては、背中や肩、奥歯など胸以外にも痛みが現れる場合があり、その原因として、心臓・肺・食道・大血管が胸部にある自律神経節を共有していることが考えられます。

主な心疾患の胸痛の原因としては、狭心症と心筋梗塞があり、狭心症は安静にしていると通常5分以内、長くても10分以内に改善されます。一方、心筋梗塞は、死への不安や恐怖を伴う程の強い胸痛が短くても30分以上続きます。強い胸痛を伴う症状として、顔面蒼白、冷や汗、呼吸困難、吐き気などを伴うこともあります。他に大動脈疾患や心筋炎、心膜炎などでも胸痛が現れることがあります。

動悸

動悸とは、心臓の鼓動が速くなったり、激しく鼓動したり、不規則になったりするなど心臓の拍動を自覚する症状です。健康な状態でも緊張や不安、ストレスなどにさらされたり、運動直後は、交感神経の働きが強くなることで一時的に心臓の鼓動を強く感じることがあります。しかし、病的な動悸は平静時に突然起こります。主な心疾患の動悸の原因としては、虚血性心疾患や不整脈などが考えられます。

心不全

心不全とは、疾患名ではなく、心臓のポンプ機能の低下により全身に必要な血液を送ることができなくなった状態を指します。心不全は特定の心疾患に限らず、様々な疾患が原因や誘因となって心臓に負荷がかかった場合に最終的に至る状態です。心不全により、全身の臓器に必要な酸素や栄養が足りなくなることで「息切れ・呼吸困難感、浮腫(むくみ)」など、他にも様々な症状を引き起こします。なかでも症状や徴候が急激に出現する急性心不全は、心臓のポンプ機能が破綻し血液循環が保てなくなった状態であり、心原性ショックや心停止により死に至る重篤な病態です。以下は主な心不全の症状です。

息切れ・呼吸困難感

息切れとは、通常の自然な呼吸ができず、息を吸ったり吐いたりするのに努力を要する状態であり、息苦しくなったり、呼吸が浅くなったり・速くなったりするなどを感じる症状です。心不全により血液が心臓に戻りにくくなると、肺で血液がうっ滞して血液中の水分がしみ出ることで息切れの症状が現れます。心不全が進行すると、軽い動作でも息切れや呼吸困難症状が起こり、さらに症状が進むと、安静時でも息切れを感じるようになり、就寝して数時間後に呼吸が苦しくなって目が覚めてしまう夜間呼吸困難を起こすこともあります。

浮腫(むくみ)

浮腫(むくみ)とは、何らかの原因によって血液中の水分が血管の外に浸み出し皮膚ないし皮膚の下に水分が溜まった状態です。特に足は心臓から最も遠いため、重力の影響でうっ滞すると浮腫が起こりやすい傾向にあり、すねの下部を圧迫して離すと、くぼみが残るその症状が浮腫(むくみ)です。

心不全により心臓のポンプ機能が低下すると、血液がうっ滞して全身に水が溜まりやすくなり、腎臓に流れる血液も減少し尿量が減ります。腎機能低下により尿量が減ると、溜まった水分を外に出すことができないため、全身の血液がうっ滞し浮腫(むくみ)が起こります。また、全身の血液が心臓に戻れずに滞ることも浮腫(むくみ)の原因であり、「むくみ」は心不全の前兆であり指標となる症状の1つです。

その他

息切れや浮腫(むくみ)以外にも、疲労感、食欲不振、体重増加、四肢の冷感など、心臓のポンプ機能の低下によって、多種多様な心不全症状が引き起こされます。これらの心不全症状は、全ての心疾患を契機として起こる可能性がある心臓の不調のサインであり、軽症から死に至る心原性ショックや心停止まで多種多様な症状や徴候となります。

入院~退院後の流れと、リハビリについて

心臓手術を受ける患者の入院から退院後に至るまでのプロセスと、心臓リハビリテーションについては以下のリンクをご参照ください。
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よくある質問

こちらのコラムの内容の要点を「よくある質問」からまとめています。

心疾患とは何ですか?

心疾患は、心臓の構造や機能の異常によって血液の循環不全が引き起こされる病気の総称です。これには虚血性心疾患、不整脈、心臓弁膜症、大動脈疾患、先天性心疾患などが含まれます。

虚血性心疾患とはどのような状態ですか?

虚血性心疾患は、冠動脈が狭くなったり詰まったりして心臓への血液の流れが悪くなる状態です。主に狭心症と心筋梗塞の2種類があります。

不整脈にはどのような種類がありますか?

不整脈には、期外収縮、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈などがあります。特に心室細動は、突然死の原因になる重症致死性不整脈です。

心不全の主な症状は何ですか?

心不全の症状には、息切れ・呼吸困難感、浮腫(むくみ)、疲労感、食欲不振などがあります。これらは心臓のポンプ機能の低下によって起こります。

先天性心疾患とはどのようなものですか?

先天性心疾患は、生まれつき心臓や血管の構造が正常と異なる疾患です。最も一般的なものは心室中隔欠損で、医療技術の進歩により多くの患者が成人を迎えるようになりました。

関連記事

【参考文献】

・一般社団法人 日本循環器学会
2023年改訂版 冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/03/JCS2023_fujiyoshi.pdf

・一般社団法人 日本循環器学会
2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/JCS2022_Takase.pdf

・一般社団法人 日本循環器学会
2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/07/JCS2020_Ogino.pdf

・一般社団法人 日本循環器学会
2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf

・一般社団法人 日本循環器学会

成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017 年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/08/JCS2017_ichida_h.pdf

心疾患情報執筆者

心疾患情報執筆者

増田 将

株式会社増富 常務取締役

プロフィール

医療現場支援歴:10年
《主な業務歴》
・医療現場支援歴:10年
・循環器内科カテーテル治療支援:3,000症例
・心臓血管外科弁膜症手術支援 :700症例
・ステントグラフト内挿術支援 :600症例