株式会社増富

高度管理医療機器等販売業 許可番号 第100327号

医療機器認定とは

医療機器の認証制度は、製品が規制要件を満たし、管理システムを備えていることを証明するための、世界的に認識された基準です。この制度は、製品の設計、製造、設置、およびサービスを行う組織で用いられます。また、認証機関などの内外部団体が監査プロセスを支援するために使用することもあります。

特に日本では、医療機器の認証には医薬品医療機器等法(PMD Act)の順守が求められます。この法律は、品質管理システムの順守、医療機器の登録、医療ソフトウェアの規制、第三者認証など、日本の医療機器規制の主要な領域に影響を与えます。日本で医療機器を市場に投入するには、製造業者は現行のPMD Actに準拠している必要があります。

医療機器の分類と認証プロセス

医療機器の分類は、使用時のリスク度合いに基づいて行われ、それに応じて規制の厳格さが定められています。日本における医療機器の分類は、国際基準に沿っており、以下のように区分されます。

一般医療機器 クラスI

通常、体外で使用される製品がここに含まれます。例として、診断用ステートスコープや医療用バンドがあります。一般医療機器は、不具合や副作用が生じても人の生命や健康にほぼ無視できるリスクしかもたらさないと厚生労働省が判断しています。承認の必要はありませんが、医薬品医療機器総合機構(PMDA)への通知が必要で、通知後に市場投入できます。通知申請には、製品説明(外観、寸法、材質、仕様、製造プロセスなど)が必要ですが、品質管理システム(QMS)の監査は求められません。

認証プロセス

一般医療機器の認証プロセスでは、製品が基本的な安全性と機能性の基準を満たしていることを示す必要があります。これは通常、製品の技術文書や安全データをもって証明されます。臨床試験の結果を提出する必要は一般的にはありません。

管理医療機器 クラスⅡ

体外で使用されるものの、より高度な管理が求められる製品です。X線フィルムや再使用可能な手術器具などが含まれます。これらは、一般医療機器よりも厳しい安全基準と性能評価を満たす必要があります。制御医療機器は、不具合や副作用が発生した場合、相対的に低い潜在リスクを有すると判断されます。認証プロセスでは、製品が厳しい安全基準と性能評価を満たしていることを証明するため、詳細な技術文書の提出が必要です。臨床データの提出が求められることもあります。

認証プロセス

管理医療機器の認証プロセスにおいては、製品がより厳格な安全基準と性能基準を満たしていることが必要です。これを証明するために、詳細な技術文書の提出が要求され、場合によっては臨床データの提出も必要とされます。製品のリスクレベルに応じて、厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)による追加の審査が行われることがあります。

高度管理医療機器 クラスⅢ クラスIV

体内留置されたり、生命維持に関わるなど、高リスクを伴う製品がここに該当します。ペースメーカーや人工関節などが含まれます。これらは、不具合や副作用が発生した場合に高く、場合によっては致命的なリスクを有すると判断されます。これらの医療機器は、PMDAのレビューを受けるために承認申請が必要です。多様な医療機器が含まれるため、申請カテゴリによって要件やレビュー期間、費用が異なります。

認証プロセス

高度管理医療機器の認証プロセスは非常に厳格で複雑です。これらの製品には、詳細な臨床試験データを含む、包括的な技術文書の提出が求められます。製造プロセスと品質管理システムが適切であること、そして製品が臨床使用時に安全で効果的であることの証明も必要です。これらの製品は市場投入前に、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による厳密な審査を受けなければなりません。

特定保守管理医療機器 

特に高度な安全管理が求められる医療機器がここに含まれます。人工心肺装置や透析機などが例です。これらは、使用後の維持管理が重要であり、定期的な検査やメンテナンスが義務づけられています。

認証プロセス

特定保守管理医療機器は、使用後の維持管理が非常に重要なカテゴリーです。認証プロセスにおいては、製品の安全性と効果の証明に加えて、維持管理のガイドラインやプロトコルの提出が必要です。これには定期的な検査やメンテナンス計画、不具合が発生した際の対応策などが含まれます。

これらの分類は、医療機器の使用に伴うリスクを考慮して設計されており、カテゴリーごとに適切な規制が施されています。目的は、医療機器による治療効果が潜在的なリスクを上回ることを保証することです。日本では、厚生労働省が基準を定め、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が審査を実施しています。これにより、医療機器の安全性と有効性、そして国際基準への準拠が確保されます。

医療機器の安全性と有効性の評価

医療機器の安全性と有効性の評価は、使用者へのリスクを最小化するために欠かせません。この評価は、医療機器が臨床利用時に意図された目的を果たし、許容される安全性の範囲内で機能することを保証するために実施されます。以下に、日本での医療機器の安全性と有効性の評価プロセスを説明します。

安全性の評価

安全性の評価は、医療機器が使用者やユーザーに対して直接的、または間接的に引き起こす可能性のあるリスクを特定し、分析し、評価するプロセスです。これには以下のステップが含まれます。

  • リスク分析: 医療機器の設計、製造、使用に関連する全てのリスク要因を特定します。
  • リスク評価:特定されたリスクの重大性と発生確率を評価します。
  • リスク管理:リスクを受け入れられるレベルまで減少させるための戦略を策定し、実施します。

安全性の評価は、市場投入前だけでなく、市場投入後も継続して行われるべきです。これには、不具合報告やリコール情報の追跡が含まれます。

有効性の評価

有効性の評価は、医療機器が臨床的に意図した目的を達成することができるかどうかを確認するプロセスです。この評価には以下のステップが含まれます。

  • 臨床試験: 医療機器の有効性を実証するために、適切に設計された臨床試験を実施します。
  • データ分析: 臨床試験から得られたデータを分析し、統計的に有意な結果を得ることを目指します。
  • 臨床的意義の評価:統計的な結果が臨床的に意味のある改善を示しているかを評価します。

有効性の評価は、医療機器が実際の使用者のケアにおいて肯定的な効果をもたらすことを保証するために重要です。これは、医療機器が単に安全であるだけでなく、治療や診断に実際に役立つことを示す必要があります。

日本では、厚生労働省と医薬品医療機器総合機構(PMDA)がこれらの評価を監督しています。これらの機関は、医療機器が日本の薬事法に準拠していることを確認し、安全性と有効性の両方の基準を満たしていることを保証するために、厳格な審査プロセスを実施しています。

医療機器の登録と承認手続き

日本で医療機器を販売するには、日本の薬事法(PMD Act)に準拠する必要があります。医療機器メーカーは、品質管理システムに関連する厚生労働省令第169号の要件を遵守し、国内代表者(MAH/D-MAH)を任命し、設計および製造施設を登録する必要があります​​。

登録プロセスは、医療機器の分類と関連する日本医療機器名称(JMDN)によって決定されます。市場への参入には、以下のいずれかの手続きを通じて医療機器の登録が必要です。

市場前通知(届出)

一般的な医療機器(クラスI)の登録には、医薬品医療機器総合機構(PMDA)への事前提出が必要ですが、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による評価は行われません。

市場前認証(認証)

クラスII(及び一部のクラスIII)で関連する認証基準(JIS)がある医療機器は市場投入前認証を受ける必要があります。製造販売業者(MAH)は、登録認証機関(RCB)への申請が必要です。

市場前承認(承認)

特定の認証基準がないクラスIIやIII、全てのクラスIVの医療機器は市場投入前承認が必要です。この場合、MAHは医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ市場投入前承認申請を行い、最終的には厚生労働省から承認を得る必要があります。

国内製造業者は、自らの製造施設を地方自治体に登録し、製造業者登録(MR)を取得する必要があります。一方、外国製造業者は、製造施設を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に登録し、外国製造業者登録(FMR)証明書を取得する必要があります​​。

医療機器の製造販売後の安全管理

医療機器の製造販売後の安全管理は、使用者の安全を守り、臨床現場で予期せぬ問題が生じないようにするために不可欠です。この管理は製品が市場に出てからも継続され、以下のような各種活動に分かれます。

一般医療機器

市場調査

一般医療機器の使用に関するフィードバックを収集し、問題がないかを監視します。

不具合報告

使用中に発生した問題や不具合は、速やかに関連する規制当局に報告されます。

製品改善

収集されたデータを基に、製品の改善やアップデートが行われることがあります。

管理医療機器

定期的な安全性評価

定期的に製品の安全性を評価し、必要に応じて規制当局に報告します。

教育・情報提供

使用者に対して、製品の正しい使用方法や安全に関する情報を提供します。

リスク管理計画

製品に関連するリスクを特定し、それを管理するための計画を実施します。

高度管理医療機器

市販後臨床試験

市場投入後も、製品の有効性と安全性を監視するための臨床試験が実施されることがあります。

リコールと安全性情報の更新

重大な安全性の問題が発見された場合、製品のリコールや安全性情報の更新が行われます。

厚生労働省との連携

製品に関する重要な情報は、厚生労働省と緊密に連携して共有されます。

特定保守管理医療機器

メンテナンスと検査

定期的なメンテナンスと検査が行われ、製品が常に最適な状態で使用されるようにします。

使用後の追跡調査

製品の長期的な安全性と有効性を追跡するための調査が実施されます。

技術サポート

使用者が直面する可能性のある問題に対応するための技術サポートが提供されます。

医療機器の製造販売後の安全管理は、製品のライフサイクル全体を通じて継続されるプロセスであり、不具合の早期発見、リスクの評価と管理、必要に応じた製品の改善やリコールなどを含みます。これらの活動は、使用者の安全を保証し、医療機器がもたらす治療効果が潜在的なリスクを超えることを確実にするために必要です。また、これらは規制当局との緊密な連携と透明性をもって行われます。

医療機器の品質管理と工場認証

医療機器の品質管理と工場認証は、製品が一貫して高い品質基準を満たしていることを保証するために不可欠です。これらのプロセスは、製品が安全で有効であることを確保し、使用者へのリスクを最小限に抑えるために行われます。以下に、日本における医療機器の品質管理と工場認証に関する情報を提供します。

医療機器の品質管理

品質保証体系

医療機器製造業者は、ISO 13485などの国際基準に準拠した品質保証体系を確立する必要があります。これには、製品設計、開発、製造、販売後の監視までの全プロセスが含まれます。

品質管理プロセス

製品の各製造段階で厳格な品質管理プロセスを実施し、不良品が市場に出ることを防ぎます。これには原材料の検査、製造中の検査、最終製品の検査が含まれます。

文書管理

製造プロセスの全ての段階での文書化が重要であり、品質管理記録、変更管理記録、不具合報告などが適切に管理されます。

工場認証

GMP認証

医療機器製造業者は、良い製造規範(Good Manufacturing Practice, GMP)に準拠していることを証明するために、工場認証を受ける必要があります。これは、製品が一貫した品質で製造されていることを保証するためのものです。

工場監査

規制当局や認証機関による定期的な工場監査が行われ、製造プロセスが適切な品質基準に準拠していることを確認します。

継続的な改善

工場認証は一度取得したら終わりではなく、継続的な改善が求められます。これには、製造プロセスの最適化、従業員のトレーニング、品質管理システムのアップデートが含まれます。

品質管理と工場認証は医療機器の安全性と有効性を保証するための基盤です。これらのプロセスは、製品が使用者にとって安全であること、そして予期せぬ問題が発生した場合に迅速に対応できる体制が整っていることを保証するために必要です。

医療機器の法規制と政策

医療機器の法規制

薬事法: 日本における医療機器の主要な法規制は薬事法(現・医薬品医療機器等法)に基づいています。この法律は、医療機器の承認、製造、販売、輸入、広告に関する規制を定めています。

分類と承認: 医療機器はリスクに基づいて分類され、それぞれのカテゴリーに応じた承認プロセスが必要です。リスクが高い医療機器ほど、より厳格な評価と承認が求められます。

GMP: 医療機器製造業者は、良い製造規範(Good Manufacturing Practice, GMP)に準拠していることを証明する必要があります。これは、製品が一貫した品質で製造されていることを保証するためのものです。

医療機器の政策

安全性と有効性の確保: 政策は、医療機器が安全かつ有効であることを確保することに重点を置いています。これには、適切な臨床試験の実施、安全性情報の収集と分析、市場に出た後の監視が含まれます。

イノベーションの促進: 政府は、医療機器のイノベーションを促進するために、研究開発の支援や規制プロセスの合理化を行っています。

国際調和: 日本は、国際的な規制基準との調和を図るために、国際医療機器規制者フォーラム(IMDRF)などの国際組織と協力しています。

医療機器のリスク管理と事例研究

医療機器のリスク管理は、使用者と医療提供者の安全を確保するために不可欠です。リスク管理プロセスは、医療機器の設計、製造、配布、使用における潜在的なリスクを特定、評価、管理し、最小化することを目的としています。以下に、医療機器のリスク管理と事例研究に関する情報を提供します。

医療機器のリスク管理

リスク分析: 医療機器の設計段階からリスク分析を行い、起こりうるリスクを特定します。これには、故障モード影響分析(FMEA)や故障ツリー分析(FTA)などの手法が用いられます。

リスク評価

特定されたリスクを評価し、その重大性と発生確率を考慮して優先順位を決定します。

リスク緩和

リスクを受容可能なレベルに緩和するための措置を講じます。これには、設計の変更、警告ラベルの追加、使用上の指示の明確化が含まれます。

リスク監視

製品が市場に出た後も、継続的なリスク監視を行い、新たなリスク情報に基づいてリスク管理計画を更新します。

事例研究

事例研究

医療機器に関連する過去のインシデントやリコールの事例研究を通じて、リスク管理の重要性を理解します。これらの事例は、リスク管理プロセスの改善に役立つ教訓を提供します。

教訓の活用: 事例研究から得られた教訓を活用して、将来の医療機器の設計とリスク管理プロセスを改善します。

補足

国際基準

医療機器のリスク管理には、ISO 14971「医療機器のリスク管理のための国際基準」が広く用いられています。この基準は、リスク管理プロセスの全体的なフレームワークを提供します。

規制要件

日本においては、医薬品医療機器等法(旧薬事法)が医療機器のリスク管理に関する規制要件を定めており、製造業者はこれに準拠する必要があります。

まとめ

医療機器の認定は、私たちが日常的に使用する医療機器の安全性と有効性がどのように保証されているかを示し、製品を購入する際の信頼を構築し、自分自身の健康と安全を守るために非常に重要な役割を果たしています。

リスクに基づいた分類から始まり、厳しい臨床試験の実施、品質管理システム(QMS)による品質保証、市場投入前の承認プロセスに至るまで、医療機器認定の各ステップは、使用者の安全を最優先にしたプロセスです。このプロセスは予期せぬリスクを防ぎ、適切な医療効果を提供するために設けられています。

厳しい評価基準をクリアすることにより、医療機器が使用者にとって安全で効果的であることが保証されます。この認証はそれを確実にするために重要な役割を担っています。

よくある質問

Q1: 医療機器認定とは何ですか?

A1: 医療機器認定は、製品が規制要件を満たし、品質管理システムを備えていることを証明するための、世界的に認識された基準です。製品の設計、製造、設置、およびサービスを行う組織が使用します。

Q2: 日本における医療機器の規制はどのように行われますか?

A2: 日本では、医薬品医療機器等法(PMD Act)に準拠して医療機器の規制が行われます。これには品質管理システムの順守、医療機器の登録、医療ソフトウェアの規制、第三者認証などが含まれます。

Q3: 医療機器の分類とは何ですか?

A3: 医療機器の分類は、使用時のリスク度合いに基づいて行われ、一般医療機器(クラスI)、管理医療機器(クラスII)、高度管理医療機器(クラスIII、クラスIV)、特定保守管理医療機器に区分されます。これにより、規制の厳格さが定められます。

Q4: 医療機器の安全性と有効性の評価はどのように行われますか?

A4: 医療機器の安全性評価は、リスク分析、リスク評価、リスク管理を通じて行われます。有効性の評価では、臨床試験を実施し、データを分析して医療機器が臨床的に意図した目的を達成できるかを確認します。

Q5: 医療機器の登録と承認手続きにはどのようなプロセスがありますか?

A5: 医療機器の市場への参入には、クラスに応じて市場前通知(届出)、市場前認証(認証)、市場前承認(承認)のいずれかの手続きが必要です。これにより、医療機器が日本の薬事法(PMD Act)に準拠していることが確認されます。

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