「大動脈縮窄症(CoA)」の解説記事を 最新ガイドラインに合わせて更新しました
当社の心疾患コラム 「大動脈縮窄症(CoA)」を、 2025年に公表された成人先天性心疾患の 最新ガイドラインなどを踏まえて 大幅に更新しました。
大動脈縮窄症は、 心臓から全身へ血液を送る 大動脈の一部が先天的に狭くなっている病気 です。
重症の新生児では 出生後数日で循環状態が急速に悪化することがある一方、 比較的軽い場合には症状がほとんどなく、 子どもや成人になってから 高血圧をきっかけに発見されるケースもあります。
今回の主な更新ポイント
成人では上半身の高血圧と 下肢の血圧・脈拍低下が 重要な診断の手がかりとなります。
新生児・乳児の手術から、 年長児・成人のステント治療までを 分かりやすく整理しました。
再狭窄、高血圧、 大動脈瘤などを確認する 長期的な管理について解説しています。
今回の更新では、 2025年の などを踏まえ、 成人の大動脈縮窄症で特に重要となる 上肢・下肢の血圧測定 について詳しく紹介しています。
大動脈縮窄症では、 狭窄より上流にある腕の血圧が高く、 下流にある脚の血圧が低くなる場合があります。
は、 有意な大動脈縮窄を考える 重要な評価項目のひとつです。
画像診断についても内容を更新し、 心エコーに加えて や が、 狭窄部だけでなく 大動脈弓全体、 側副血行、 大動脈瘤などを確認するために 重要であることを紹介しています。
また、 重症の新生児では 出生後に が閉じることで 下半身への血流が急激に低下し、 心不全やショックを起こすことがあります。
このような場合には、 を使用して動脈管を開いた状態に保ち、 下半身への体血流を確保しながら 手術などの根本治療へつなげることがあります。
年長児や成人では、 狭窄部の形態や既往治療などによって、 が重要な選択肢となります。
さらに今回、 特に内容を強化したのが 治療後の長期管理です。
大動脈縮窄症は、 手術やカテーテル治療で 狭窄を解除したあとも、 高血圧や再狭窄、 大動脈瘤などが生じる可能性があります。
そのため、 「子どもの頃に手術したから治療終了」 ではなく、 成人期まで含めた生涯にわたる循環器フォロー が重要です。
また、大動脈縮窄症では を合併することも多いため、 縮窄部だけでなく、 大動脈弁や上行大動脈も含めて 長期的に確認する必要があります。
記事では、 新生児期から成人期までの症状、 検査、 治療方法、 術後フォローについて、 比較表や専門用語のポップアップ解説を使いながら 分かりやすく整理しています。
大動脈縮窄症と診断された方、 子どもの頃に手術を受けた方、 高血圧をきっかけに大動脈縮窄症を指摘された方、 そのご家族の方は、 ぜひご覧ください。
専門用語をやさしく解説
本文中の青い点線の専門用語は、 クリック・タップすると意味を確認できます。 以下の一覧からも開けます。
参考:
日本循環器学会
「2025年改訂版 成人先天性心疾患診療ガイドライン」
2025 ACC/AHA/HRS/ISACHD/SCAI Guideline for the Management of Adults With Congenital Heart Disease
※本お知らせおよび解説記事は、 一般的な医療情報の提供を目的としています。 大動脈縮窄症の治療方針は、 年齢、体格、狭窄の形態、高血圧、 心機能、過去の手術・カテーテル治療歴などによって異なります。 個別の診断・治療については、 担当の医療機関へご相談ください。
大動脈縮窄症(CoA)
心臓から全身へ血液を送る 大動脈の一部が先天的に狭くなった病気です。
CoAは Coarctation of the Aorta の略です。 多くは動脈管がつながる付近の 大動脈峡部に狭窄がみられます。 狭窄より上流側では血圧が高くなり、 左心室にも圧力負荷がかかります。
2025年 成人先天性心疾患診療ガイドライン
先天性心疾患を持ちながら 成人になった患者さんの 診断・治療・長期管理についてまとめた診療指針です。
日本では、 日本循環器学会、 日本小児循環器学会、 日本成人先天性心疾患学会による 2025年改訂版が公表されています。 大動脈縮窄症についても、 診断、画像検査、 手術・カテーテル治療、 成人期の長期管理などが解説されています。
上下肢血圧差
腕と脚で測定した血圧の差です。 大動脈縮窄症を評価する重要な手がかりです。
大動脈の狭窄より上流にある腕では 血圧が高くなり、 下流にある脚では 血圧が低くなる場合があります。 成人CoAでは、 上肢と下肢の収縮期血圧差が 20mmHgを超えることが 有意な狭窄を考える代表的な指標のひとつです。
動脈管
胎児期に 肺動脈と大動脈をつないでいる 一時的な血管です。
胎児は肺で呼吸をしていないため、 動脈管を通して 血液が肺を迂回しています。 通常は出生後に自然に閉じていきます。
プロスタグランジンE1(PGE1)
新生児の動脈管を 開いた状態に保つために使用される薬です。
重症の大動脈縮窄症では、 動脈管を介して 下行大動脈や下半身への血流を確保し、 手術などの根本治療まで 循環を安定させる目的で使用します。
CMR(心臓MRI)
MRIを使って 心臓や大動脈を詳しく調べる画像検査です。
大動脈弓の形、 縮窄の位置、 大動脈の太さ、 側副血行などを評価できます。 放射線被ばくがないため、 成人CoAの長期的な画像フォローで 重要な検査です。
CTA(CT血管造影)
造影CTを使って 大動脈や血管を詳しく確認する検査です。
狭窄の位置や長さ、 大動脈瘤、 大動脈壁、 ステントなどを 高い空間分解能で確認できます。
ステント治療
狭くなった大動脈を 血管の内側から広げて支える カテーテル治療です。
カテーテルを使って狭窄部まで ステントを運び、 血管内で広げることで 血流を改善します。 年長児や成人のCoA、 または治療後の再狭窄などで 重要な選択肢となります。
大動脈二尖弁(BAV)
通常3枚ある大動脈弁の弁尖が 2枚になっている先天性の弁異常です。
BAVは Bicuspid Aortic Valve の略です。 大動脈縮窄症では 大動脈二尖弁を合併することが多く、 大動脈弁狭窄・逆流だけでなく、 上行大動脈の拡張にも注意します。
