「僧帽弁形成術(MVP)」の解説記事を更新しました
当社の心疾患コラム「僧帽弁形成術(MVP)」を、最新の診療ガイドラインや臨床研究を踏まえて更新しました。
僧帽弁形成術は、心臓の弁を人工弁に取り替えるのではなく、自分の弁を修復して血液の逆流を減らす手術です。今回の更新では、手術方法の説明に加えて「どのような患者さんに適しているのか」「いつ手術を考えるのか」「術後の生活はどうなるのか」を、より分かりやすく整理しました。
今回の主な更新ポイント
症状がない場合も含め、心機能や検査値をどう評価するのかを解説。
それぞれの特徴と、治療法を選ぶうえでの注意点を整理。
入院中の流れ、術後の経過観察や服薬について紹介。
2025年のを踏まえ、重症の一次性僧帽弁逆流(MR)で耐久性のある修復が見込める場合には、外科的なが重要な治療選択肢になることを紹介しています。
また、無症状でも重症の一次性MRでは、や左心室の大きさなどが手術時期を考える目安となります。症状がないことだけで「まだ治療は必要ない」とは判断できない点も解説しています。
具体的な修復方法については、やなどを文章中心に整理。さらに、、ロボット支援手術、との違いも紹介しています。
記事は医学的な解剖図に頼らず、比較表や手順、クリック式の専門用語解説を使って、患者さんやご家族が読み進めやすい構成にしました。手術について知りたい方、医師から治療選択肢の説明を受けた方は、ぜひご覧ください。
専門用語をやさしく解説
本文中の青い点線の用語はクリック・タップで意味を確認できます。以下からも開けます。
参考:2025 ESC/EACTS Guidelines for the management of valvular heart disease(European Heart Journal、2025年)
※本お知らせ・解説記事は一般的な医療情報の提供を目的としています。診断や治療の判断は、担当の医療機関へご相談ください。
僧帽弁形成術(MVP)
自分の僧帽弁を残し、修復して血液の逆流を減らす手術です。
弁尖・腱索・弁輪などの傷んだ部分を修復します。英語ではMitral Valve PlastyまたはMitral Valve Repairと呼ばれます。MVPは「僧帽弁逸脱症(Mitral Valve Prolapse)」の略語にも使われるため、文脈による区別が必要です。
僧帽弁逆流(MR)
心臓の収縮時に僧帽弁が十分閉じず、血液が左心房へ戻る状態です。
Mitral Regurgitationの略。弁そのものの異常による一次性MRと、心室・心房の形の変化などが関係する二次性MRがあります。原因によって治療方針が異なります。
2025年ESC/EACTS弁膜症ガイドライン
心臓の弁膜症の診断・治療について、欧州の学会が公表した診療指針です。
ESCは欧州心臓病学会、EACTSは欧州心臓胸部外科学会です。2025年版では僧帽弁逆流の治療適応や手術・カテーテル治療の推奨が示されています。
左室駆出率(LVEF)
左心室が収縮したとき、内部の血液をどれだけ送り出すかを示す割合です。
Left Ventricular Ejection Fractionの略。重症の一次性僧帽弁逆流では、無症状であってもLVEFが60%以下などの場合に手術を検討・推奨する重要な基準になります。
弁輪形成
僧帽弁の周囲(弁輪)の形や大きさを整える修復方法です。
拡大した弁輪を専用のリングなどで支え、弁尖同士が適切に接するようにします。必要に応じて他の修復方法と組み合わせます。
人工腱索再建
伸びたり切れたりした腱索の働きを、人工の糸で補う方法です。
腱索は僧帽弁の弁尖を支える構造です。腱索の異常で弁が閉じにくい場合に、人工腱索を使って弁尖の動きを調整します。
MICS(低侵襲心臓手術)
胸骨を大きく切開する方法とは異なり、小さな切開から行う心臓手術です。
Minimally Invasive Cardiac Surgeryの略。右小開胸などのアプローチで僧帽弁形成術を行うことがあります。ただし、すべての患者さんに適するわけではありません。
TEER(経カテーテル僧帽弁接合不全修復術)
カテーテルを使い、僧帽弁の弁尖を接合して逆流を減らす治療です。
Transcatheter Edge-to-Edge Repairの略。外科的な僧帽弁形成術とは異なる治療で、手術リスクや弁の形などに応じて選択されます。
